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2018年5月25日 (金)

[今里筋線の謎] 上新庄へ行けなかった理由と考えられている内環の新幹線交差部について調べてみた

2018年7月26日更新

以前から気になっている話。

2006年に開通した大阪市営地下鉄今里筋線(現在はOsaka Metro 今里筋線)。初は北側は阪急上新庄へ路線を伸ばす話になっていましたが、最終的には井高野方面へ開通することになりました。

よく言われているのが、内環状線の新幹線交差部分で基礎構造物に支障するため、上新庄に行けなかったという話。しかしながら、内環状線は片側2車線の幹線道路なので、本当に支障するの?というのが話題になっています。

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現地の写真。この東海道新幹線の架道橋は「瑞光第二架道橋」と言います。地下鉄通れそうに思うのですが、、、


ということで、大阪府立中之島図書館に行ってきて調べました。

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何を調べに行ったかと言いますと、「東海道新幹線工事誌」1)が置いてあるからです。

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出典:東海道新幹線工事誌、日本国有鉄道大阪第二工事局、p.469、1965

名称:「瑞光第二架道橋

基礎構造:井筒4.0m×3基と杭φ45cm

く体構造:Y型橋脚3基

上部構造:CtP 30.0m×1連(右60°)、Ct12.5m×1連(左60°)、Ct9.0m×1連(バチ型)

なお、備考に「道路付替を要した」と書かれています。

ここで、く体:橋脚3基に基礎:井筒3基と杭(1基)と書かれているのが疑問に残りました。く体と基礎の数が合いません。

ただし、東海道新幹線工事誌のp.559の「表3-4-6 大幹工 管内井筒使用箇所表」の瑞光工区に、瑞光第2架道橋の井筒の外径が4.0m、基数は2 と記載されています。なので、もしかすると橋脚2基の基礎が井筒で、残り橋脚1基の基礎は杭基礎なのかもしれませんが、ここは推測の域を超えないです。

仮に井筒基礎が2基(3基だとしてもですが)だとすると、橋長が30mと最も長いので、内環状線をまたぐ両側の橋脚の基礎が井筒基礎なのだと考えられます。




新幹線交差部の離隔はどれくらいあるのか?

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橋長が30mで道路幅は25mと記載されています。道路幅は内環状線の車道の幅なのか、歩道を含めた幅なのかが不明です。そもそも、東海道新幹線建設当時の内環状線が整備状況は不明なので、この道路幅25mが今の内環状線に該当するのかも不明です。

なお、東海道新幹線工事誌のp.464に(図3-2-25) 瑞光工事管内平面図には、今の内環状線にあたる道路が上新庄側から新幹線交差地点まで伸びており、そこから今の大阪経済大学方面(東側)に道路が伸びています。


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出典:東海道新幹線工事誌、日本国有鉄道大阪第二工事局、p.464、1965

橋長が30mなので、橋脚の間隔が30mだと考えられます。井筒基礎が4mですので、橋脚から道路側にはみ出している基礎の大きさは両側およそ2mと考えられることから、30m-2m×2で、井筒基礎間の離隔は26mとなります。

一方、道路と60°で交差していることから、道路直角方向の井筒基礎間の離隔は、26m×sin60°=26×√3÷2=約22.5m。つまり、内環状線の新幹線交差部の両基礎構造物の離隔はおおよそ22mあるということになります。

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22mあれば、地下鉄(今里筋線)を通すことができたのでは?と思ってしまうのですがどうでしょうか。



どれぐらいの幅があれば今里筋線を通すことができるのか

素人の考えになりますが、考えてみました。

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今里筋線のシールドトンネルのセグメント外径は、φ5.33mのようです2)。また、清水~新森古市間では、車庫への分岐箇所があるためこの区間は本線シールド2本と車庫線シールドの計4本のシールドが併設している区間がありますが、この区間の本線シールドの中心間隔は7.8mであり、シールドトンネルの最小離隔は1m程度と近接した施工を行っています3)。このことから、シールドの中心離隔を8m、構造物との離隔を1.5mと仮定しましょう。

すると、1.5+5.33/2+8+5.33/2+1.5=16.33m → 17mとなることから、今里筋線のシールドトンネルを通すには約17m必要だと推測します。

内環状線の新幹線交差部の基礎構造物離隔22mと考えると、複線横並びでシールドトンネルを通すことができるように思います。もちろん、日本の大動脈東海道新幹線の橋梁の井筒基礎に対して、離隔1.5mで施工できるのかどうか、わたくしには全く判断できませんが、そこまで厳しい離隔ではないように素人ながら感じます。




瑞光四丁目で新幹線と交差する方が厳しい?


今里筋線はこの内環状線では東海道新幹線と交差できないという話になっていますが、実は別のところで東海道新幹線と交差しています。

瑞光四丁目~井高野間において、瑞光四丁目駅のすぐ北側で交差しているのです。

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内環状線よりも幅が狭い道路の地下で、今里筋線が新幹線と交差しております。こちらの方が、見た目、新幹線との交差が難しそうな、、、?



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道路との交差部は、門型の橋脚となっています。





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橋脚には、「小松南第1Bv」と記載されています。


東海道新幹線工事誌を見ると、「小松南第一架道橋」として、ラーメン鋼橋脚の基礎は、井筒外径4.0mと記載されており、また交差道路の幅は15.0m、角度は18mとなっています。

工事誌を見る限りでは、内環状線と交差する瑞光第二架道橋よりも、実際に今里筋線が交差している小松南第一架道橋の方が、条件として厳しそうに思います(なお、工事誌に記載されている道路幅15mが、現在の道路にそのまま当てはまるのかは断定できません)

先ほど、シールドトンネルを2つ並べて通すには17m必要と書きましたが、ここの道路幅15mを考えると、これぐらいの幅でもシールドトンネルを通せるのでしょうか。

基礎の深さは、東海道新幹線工事誌のp.559の表3-4-6 に、平均長23mと記載されているので、井筒基礎の縦方向の深さは23mと推測されます。今里筋線のシールドトンネルの深さはそこまで深くないので、井筒基礎の間を今里筋線が通っていることは間違いないと思います。


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なお、ラーメン橋脚以外に、道路の左右に片側だけの壁式単線橋脚2基も設置されています。こちらの基礎は杭基礎です。合成桁を少しでも桁長を短くしているようです。


そして、工事誌に記載されている一番??となったものは、備考に記されている下記。

”ラーメン鋼橋脚を古レール入地中梁にて地面F0.7m高さ0.8mにてつなぐ。”

出典:東海道新幹線工事誌、日本国有鉄道大阪第二工事局、p.468、1965

比較的浅い位置のようですが、地中で両橋脚の下部を繋いでいるようです。道路と直角方向に繋いでいるようですね。ただ、この箇所の今里筋線シールドトンネルは地上から10m以上の深さを通っているので、新幹線の地中梁はシールドトンネルには影響なさそうですね。




  

これ以上は不明

結局、東海道新幹線工事誌を見てわかったことは、

・今里筋線を上新庄方面へ延伸する際に支障となりそうな基礎構造物はなさそう

・上新庄方面への延伸よりも、実際に延伸されたルート上の新幹線との交差地点の方が条件が厳しそう

の2点でした。

これ以上は、ギブアップです。

工事誌を見る限り、内環状線と東海道新幹線の交差地点に、地下鉄延伸に支障となりそうな基礎構造物はなさそうではありますが、現実として、支障となる基礎がない、とは断定できません。次の2点の可能性もあるでしょう。

・東海道新幹線工事誌には掲載されていない何かがある

・東海道新幹線完成後、今里筋線が計画されるまでに地中に何か構造物を埋設した

私には、これ以上、地下鉄延伸に支障となりそうな構造物がない、ということは証明できません。そもそも、ないことの証明も難しいのです。ない、ことを証明しようとすれば、実際に内環状線の地下を掘って、構造物がないことを確認するしかないのですが、もちろんそんなことはできません。私にはこれ以上はお手上げです。




もちろん、私は施工の専門家でもトンネルの専門家でもないため、近接施工となる場合の井筒基礎の必要離隔自体が不明ですし、本当に井筒基礎から1.5mのところにシールドトンネルを通すことができるかはわかりません。なので幅17mあれば地下鉄を通せるという根拠はとても低いものとなっていますが、私の考え方に問題・間違いがあれば教えて頂ければ幸いです。工事誌で見落としている事項もあるかもしれませんし。

また、瑞光第二架道橋と小松南第一架道橋とでは橋梁の形式(上部工・く体)が違うことから、必要離隔自体の考え方自体も異なるのかもしれません。

おわりに

今回、今里筋線の謎を解きたくて中之島図書館に行ってきたのですが、解明はできませんでしたが、仮説に近いことは立てれたのではないかと思います。それにしても、図書館、面白いですね。「京阪百年のあゆみ」など、他では見ることのできない書物がたくさんあり、こんは本もあるんだ、という驚きが隠せませんでした。以前に207さんが下記のようにつぶやかれていたのを思い出します。


今回、いろいろ調べて面白いなーと思いました。図書館最高!!

私も、図書館に通おうかと思ってます。

[参考資料]
1)東海道新幹線工事誌、日本国有鉄道大阪第二工事局
2)大阪市交通局地下鉄今里筋線今里駅|都市土木|国内の実績|施工実績 - 安藤ハザマ
http://www.ad-hzm.co.jp/works/domestic/toshidoboku/toshidoboku_04.html
3)今里筋線 みんなの笑顔を、大切なひとへ、まちへ-、大阪市交通局、p.36 2006

2018年7月26日追記

冒頭で紹介していた207さんが、今里筋線の上新庄延伸の話について記事を書かれました。井高野方面へ延伸した理由について詳しく調べられています!
【調査研究】今里筋線は何故上新庄に延伸しなかったのか? - Osaka-Subway.com

上記の記事では、当記事のリンクを貼っていただきまして、当記事のアクセス数が一時爆発的に増えました。いやはや、ありがとうございます。


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